EXCEEDの同人ソフト開発日記という名の備忘録

趣味のゲームソフト開発人。プロなのかアマなのかは不明(不定)らしい。

任天堂のソフトはいつも予定通りに出てこないって言われるけど、
ソフト作りっていうのは、そういうもの。
ゲームソフトは、期限までにやれと言われて、徹夜したり死に物狂いでやったからといって、
期待通りのものにはならない。そういうふうにすると、
結局、チームは妥協しなければならなくなる。
妥協させられて、できたものは、粗くなってしまう。
ユーザーは目が肥えていますから、受け付けてもらえない

山内 薄

ファランクス

ウチのブログ的にも、これも語らないと。

1991年に X68000 で発売された横シューティングゲームファランクス」が Wiiウェア用ソフトとして復刻され、12月22日から500ポイントでダウンロード可能になったので、早速ダウンロードしてみた。

http://www.zoom-inc.co.jp/wii/phalanx/index.html

実は、私自身 X68000ユーザーになったのがX68000後期の頃だったので、このゲームはリアルタイムで遊んでいたわけではなく、数年前にズーム社が自社ホームページ内で過去作品の無償ダウンロードサービスを行っていた際にダウンロードして遊んだことしかなかったりするので、あまりプレイ時間は長くないのだが、それでも気付いた点を幾つかあげてみたいと思う。

結論としては、良くも悪くも「別物」500円なら間違いなく買い。

個人的に残念だったのが、ファランクスを象徴している演出が再現されていなかったこと。たとえば、1面の後半の焼け野原の大地がラスタースクロールしないとか、2面の水中もラスタースクロールしないのは残念だったと思う。とくに1面後半の焼け野原の大地は、X68000版では、物言わぬ「争いの壮絶さ」をラスタースクロール+装飾スプライトを使って効果的に表現していた(と私は思う)。とくに、焼け出された鉄塔(ビル?)がさりげなく立っている辺りが、大変いい味を出していたのに、ラスター再現を削った弊害でそれらも同時に再現不可能になり、とても残念。

私はWiiでの開発経験がないので、もしかしたら無茶なことを言っているのかもしれないが、すだれ状のテクスチャを縦に並べるだけで再現できると思うし、おそらく Wiiの描画能力的にもファランクスの1面程度のものであれば、60fps は余裕だと思うのだが、実際はどうなのだろう?

あと気になった点は、やっぱり音楽。個々の好みの問題があるので、一概に良い悪いは判断できないとは思うが、個人的には、原作のFM音源のBGMをベタ流しして欲しかった。Wii版は聴いた所、ローランドの MT-32 っぽい音をしているが、よく聴くとそうでは無さそうなので、BGMは Wii版用に作り直しをしているようだ。(譜面自体はX68000版と同じ)

X68000版はハードウェアの ADPCM1音という制約上、ファランクスの場合はとくにドラムパートの欠落が顕著という止むを得ない事情があったが、Wiiであれば、そういう問題は起こるはずがないので、ドラムパートが欠落しないベタ録のFM音源+ADPCMのBGMを密かに期待していただけに残念。(ちなみに、X68000版は PCM8に対応するパッチがあったらしい)

また、今回、「Wiiモード」と「X68モード」という2種類のゲームモードがあるが、これらモードの違いが想像していたものと全く異なっており、「Wiiモード」を選択すると、一部のキャラがコミカルキャラになったり、ステージ開始時に「おやじギャグ」が出たりするというシロモノだったりする。個人的には、Wiiモードにすると、当時ソフトウェアでごり押しで再現していた回転拡大縮小が、ハードウェアアクセラレーションで滑らかになったり、新しい武器が出たり、理不尽だった敵配置が修正されたりするのかと思っていた。これだったら、初めから「コミカルモード」「オリジナルモード」としておいた方が期待を裏切らなくてよかったのでは?と思った。

それとどうでもいいことかもしれないが、CEROのセクシャル判定に該当するような演出が削除されていた。(ネタバレにつき詳細は記載しない。)

ただ、悪い点ばかりでもなく、良くなった点も多々ある。たとえば、X68000版に比べて、敵弾やキャラクターが見やすくなっている。X68000版はキャラクターが背景に対してカメレオン状態な配色だったため、とくに敵弾が見づらく、何時の間にかミスしているということが多々あった。

他には当然ながら、当時、ソフトウェアでごり押しで再現していた回転拡大縮小が、スムーズに表現されていて、おそらく当時の開発者は、こういうことをしたかったんだろうなぁ・・・としみじみ思った。(もちろん、当時のゴリ押しエフェクトも最高に輝いていたと思う。)

それで最大の改良点と言えると思うが、理不尽な敵の配置や攻撃が緩和(見直されて)おり、他にもボスや中ボスなどにダメージを与えるとその箇所がフラッシュするように変更されていて、ダメージを与えているかどうかが視覚的にわかるのようになっており、こういう細やかな気遣いがとても好感が持てた。


ちなみに、128bit X68090 SHARP の広告はそのまま残っていた(笑)